
音楽系のお稽古事といったら「お嬢様」「お金持ち」「優等生」「上品」な子供達が習っているイメージでしょうか?
子供の習い事にバイオリンを選ぶことは、敷居が高いと感じる方が多いようですが、
近年では、Hudziak博士の研究で楽器演奏が子供の脳の発達に影響することがわかり、自閉症やADHDなどのお子さんの習い事としても「バイオリン」が注目を集めています。
バイオリン演奏を通して子供がどう成長していくのか、脳への効果やメリットをご紹介します。
バイオリン演奏で子供の脳が発達
とにかく落ち着きがない、他人とのコミュニケーションが苦手、我慢することが苦手・・・。
幼稚園や保育園、小学校に入学すると、社会と関わる機会が増え「普通」を目にすること、感じることが多くなります。
この時期になると、他の子供と比較をしたり、先生からのお便りの内容で、うちの子ちょっとヘンかも・・・と悩みを抱えるお母さんが増えていきます。
特に「ADHD」や「発達障害」という言葉が一般的に知られるようになってからは、本やネットでもたくさんの情報が公開されているので、該当する個性があると不安が膨らんでしまうのかもしれません。
Hudziak博士の研究結果
アメリカ、バーモンド大学の研究チームが232人の子供の脳をMRIで解析して、楽器演奏と子供の脳の発達にはどのような関係性があるのか、研究結果を発表しました。
・脳の運動野(運動機能をつかさどる部位)が活性化する
・行動を制御する脳の領域(ワーキングメモリー)にも変化が見られた
・2年で効果があらわれた
論文では7歳までに音楽訓練を始めると良いと紹介されていますが、バイオリンの習い事には脳の発達以外にもたくさんのメリットがあり、高学年から習い始めたケースでも十分効果を実感できます。
※研究に協力した子供は健康な子供達。発達障害の有無に関係なく脳の発達に良い影響があることが判明しています。
バイオリンを習わせる4つのメリット
弦楽器に触れる貴重な経験
ピアノや打楽器は学校の授業や行事でも触れる機会がありますが、ほとんどの学校で「弦楽器」に触れる授業に力を入れているところはありません。
他の子にはできない「特別なこと」に挑戦すること、そして練習して上手く演奏できるようになることで子供に自信がついていきます。
普段叱られてしまうことが多いお子さん、控えめな性格のお子さんほど、短期間で良い効果が表れやすいです。
楽譜が読めるようになる
音、長さ、強弱、表現方法など、楽譜を見ただけでどんな曲なのかがわかるようになっていきます。
音楽の授業で役立つだけではなく、想像する力も養われます。
子供用のバイオリンがある
バイオリン以外の楽器は、小さく力のない子供の手では苦労することが多く、演奏のテクニックや表現方法も制限されてしまうことがあります。
バイオリンの場合は、年齢に合わせたバイオリンがあるので、何歳からはじめても不利になることがありません。
バイオリンの音色に癒される
バイオリンは同じ音でも表現方法によっていくつもの違った印象を与えられる楽器です。
上品で優雅なバイオリンの音色にお子さんだけではなく、きっとお母さんも癒されることでしょう。先生のお手本を聞く時間が大好きという親子も多いです。
バイオリンの習い事にかかる費用
バイオリン教室や先生の方針によって費用が変わってきます。一例として費用の目安をご覧ください。
最初に揃えるもの
・バイオリン 4万円~8万円(ピアノなら数十万円以上!)
・楽譜やテキスト 2,000円~4,000円
・譜面台 1,000円~3,000円
・レッスンバッグ 0円~3,000円(楽譜や筆記用具を入れるバッグ)
楽器店で購入するよりもインターネット購入の方が送料を入れても安くなる場合が多いです。ですが、バイオリンを初めて購入する方は、失敗しないためにも先生に一度相談することをおすすめします。
同じサイズのバイオリンでもメーカーや楽器によって音色や使用感が全くことなります。写真よりも安そうに見える・・・という失敗をしないように気を付けてくださいね。
月謝
月4回 5,000円~
レベルが上がる毎につれ月謝も上がることが一般的です。大手の音楽教室、有名音大出身の先生は月謝や1回あたりのレッスン費用が相場よりも高くなります。
レッスン時間は30分~45分程度の教室が多くあります。
発表会
10,000円~(場所代、花代、ビデオ、写真、謝礼、追加レッスン料など)
教室ごとの価格差が大きいことが項目です。最近では生徒数が減り、年に1回から2年に1回の開催になっている教室も増えています。
大手の音楽教室の場合は、年に1度発表会があり、希望者はコンクールに参加することもできます。
子供にバイオリンを習わせて感じたこと
バイオリンを習わせて実感したメリットや効果など、経験者の体験談をご紹介します。
薬に頼らない音楽療法
息子はADHDのグレーゾーンと診断されています。
ストラテラという薬を使って様子を見ることになりましたが、副作用の影響でぼ~っとすることが多くなり、「落ち着きがでた」というよりは「無理矢理おとなしくさせている」という感じで、病院に連れて行ったことに罪悪感・・・。
担当の医師に正直に自分の気持ちを話すと、意外なことに音楽療法を進められました。じっとしているのが苦手なので、スイミングを検討していた時だったので本当に驚きました。
学校ではすぐに立ったりおしゃべりをしてしまう息子ですが、バイオリンのレッスン中は別人のような集中力をキープ。体や手を使ったリズム遊びや歌をうたう時間もあり、飽きずに楽しんでいます。
「あれ?こんなにイイ子だった?」と不思議に思うほどです。まだ習い始めて半年ですが、息子にとってバイオリンは「好きなこと、得意なこと」になっているようです。
最近は、テレビで流れている音をバイオリンで再現することにハマっています。「すごいね~!上手!」と心から褒める機会が増えて嬉しいです。
発表会がきっかけでますますヤル気に
1年生と4年生、同じ先生にバイオリンを習って1年になります。私たち夫婦はバイオリンに触った経験もなければピアノを弾けるわけではないので、「これ、どういう意味?」と聞かれたらどうしようと不安がありましたが、そんな心配はいらなかったようです。
バイオリンを習っているというだけで「すごいね~!」「お嬢様みたい!」と褒められたり、バイオリンはコンパクトで持ち運びが簡単な楽器なので「弾いてみて!聞きたい!」とリクエストされたり、娘たちにとって何かと嬉しい体験が多いです。
もうすぐ初めての発表会を迎えます。自分たちで選んだお気に入りのドレスが届き、苦手なところの練習はもちろん、お友達から去年のビデオを借りて発表会の雰囲気もバッチリ予習済み(笑)。
非日常的な雰囲気を体験できることが楽しみのようです。前はダラダラとゲームする時間が目立っていましたが、今ではバイオリンの練習時間を長くとるために宿題を集中して終わらせるようになりました。
お子さんの年齢に関係なく成長を見守れるおすすめのお稽古事です。
さいごに
子供の脳の発達に良い影響があり、メリットも魅力的なバイオリンの習い事。
お金持ちの習い事というイメージもいまだに強くピアノを選ぶご家庭も多いですが、実はお手頃価格な習い事なのです。
ピアノなら知っているお友達と一緒だから安心なんだけど…という声を聞くことがありますが、「バイオリン」を通して共通の趣味を持つお友達と知り合うことができます。
学校のお友達とは違った人間関係は、きっとお子さんの心を成長させますよ。